観測室の設計について


使いやすい観測所を作るためには、建物全体や観測室の形状、高さなどをよく考える必要
があります。むしろ望遠鏡やドームの選定よりも重要かも知れません。
理想をいえばキリがありませんが、後で最初からやっておけばよかったと後悔しないために、
読んでおかれるといいと思います。

これまでに色々な現場を回ってみて、最初から考えておいたほうがいいと思われる
ことを書いていきます。適宜、追加していきます。


建物の構造について


振動に対する強度は一般的に、鉄筋コンクリート造>鉄骨>木造の順になります。
鉄筋コンクリート造の場合、天文台部分を少し補強し、床を二重にすれば、
ほとんど振動を感じなくなります。

鉄骨や木造の場合は振動が伝わりやすいので、地面からピラー足
(独立したコンクリート柱)を立てる必要があります。ピラー足を立てられない場合は、
骨組みを補強して、床を二重にする必要があります。いずれの場合も、地盤が弱い場合は
地盤改良工事をお勧めします。

*二重床---望遠鏡の乗っている床と同じ床を人が動くとその振動が望遠鏡に
伝わります。そのため、望遠鏡の乗っている床の上に防振ゴムを敷き、

その上に人が乗る床を作ります。また壁などとも縁切りをします。

二重床の参考図


観測室の高さについて


望遠鏡は反射か屈折か---反射の場合ニュートンかカセグレンかの区別をしてください。
これにより、不動点が決まります。そこから、床の高さを算出します。
一般的に、ニュートン反射は110cm、屈折あるいはカセグレンは150cmです。

また、観測室の高さにベースリング、車輪、ドームリング、スリットレールの
高さが3mドームで約290mm加わるので、低い天体や風景を見たい方は、その分を考慮に
入れてください。
ただ、あまり観測室が低いと、ドームに入るときに、かなり大変なので、どちらを優先
するか難しい部分です。


観測室の形状


積雪の多い地域では、ドームの丸い部分と、下の建物の四角な部分に雪が
積もってドームが回らなくなることがあります。
積雪量に応じて、円筒形に立ち上げておいたほうが無難です。

ドームの丸い部分と、観測室の四角な部分の養生

形状が複雑なため、板金でやりにくい場合は、FRPでやる方法もあります。
最近は多くなってきました。


換気について


天文台は、ドーム内の気流を無くすために、できるだけ早く観測室内の温度を、外部の
温度と、同じにする必要があります。そのため大きな換気扇が必要になります。
小さな換気扇では無理がありますので、できるだけ大きなもの(台所用程度)を選定した
ほうがよいと思います。
またできれば吸排両用のものをお使いください。内部の空気を排出するより外部の
空気を入れたほうが早い場合があります。


電気について


ドーム内では、電気を使うことが非常に多く、配線が絡みやすいのでコンセントの位置や
数を最初から考えておいたほうがいいと思います。

電気の必要な器具類(使う予定のないものははずしてください。)

望遠鏡の土台付近
壁側

望遠鏡
パソコン・ディスプレイ・プリンター

結露ヒーター
その他パソコンに関するもの

デジカメ用ACアダプター
電気スタンド

室内照明(調光スイッチ付)

除湿機

換気扇

ドーム用回転モーター

ドーム用開閉モーター

通常は、望遠鏡の土台部分に2口コンセントを2箇所つけておけば大丈夫です。
また、壁にもパソコンを置くところに、2箇所、ドーム制御用に1箇所でいいのではないかと
思います。

その他、ネットをやる場合には、電話線も必要です。
尚、エアコンをつけられる場合は、専用電源が必要となります。
建物のトップにドームをつける場合(下の部屋からドームへ上がる場合)

この場合、観測室と、下の部屋の間に仕切りのドア等がないと
下の部屋から暖房した空気があがってきて、結露の原因になります。
当然、ドーム内気流の原因ともなりますので、できるだけ下の部屋の空気が
入ってこないように設計してください。


外側から入る観測室で、角型の場合のドアの位置


この場合はドアの位置は観測室の真中が良いと思います。
端のほうへ持っていくと、はいってから、屈んで歩く距離が長くなります。


ドームの最大回転半径を確認してください。


スリットを開けた状態で回転するので、設計時に最大回転半径を必ず、確認してください。
例えば、3mドームの場合、ドームの半径は1500mmですが、最大回転半径は
1930mmとなります(最大回転半径は基本図にのっています)。
もし、この半径内に、壁、アンテナ、フェンスなどがある場合、スリットを
開けたまま、回転するとぶつかるので、ご注意ください。


落雷対策に避雷針は必要か。


ドームの近くに避雷針を立てることが有効かどうかは、はっきりわからないのが、
現状です。逆に避雷針があることによる誘雷ということも考えられます。

これまでに、当社のドームに雷が落ちて、ドームや家が壊れたという例はあり
ません。ただ、近いところに落ちて、望遠鏡やパソコンのICや回路が壊れたこと
はあります。

対策としては、コンセントを抜いておくことや雷サージをつけることが考えられます。
また、雷保険もありますので、家が建ったら保険会社に相談してください。


ドームの設置に関する法律問題


   1.高さの10m制限
   
   2.日陰図
   
   3.居室か工作物か
    基本的には、工作物と考えられますが、建築主事の考え方で、居室とされる
    場合が出てきます。
     この場合は、滞在時間が短いということであれば居室扱いになりません。
     (例えば、台所は居室ではありません。)


建築業者に依頼する場合

 最後に、一般の建築会社やハウスメーカーには、天文台を作った経験はほとんどない
といって過言ではありません。施工例があるといっても、せいぜい他の営業所から
資料を取り寄せる程度です。
不動点といってわかる人はまずいません。振動の問題についても、なぜ、そこまで
うるさくいうのか、なかなかわかってもらえません。
またドームが回るということが理解できず、これまでに3件、ドームをセメントや防水
シリコンで固めて回らないようにされたこともあります。

そこで、いい設計士さんとめぐり合えなかった時、あるいは、わからない所が
あるときは、ご自身も天文ファンで、個人天文台から公共天文台まで多くの天文台の
設計監理を手がけた設計事務所がありますのでご紹介しておきます。


当ホームページを見たといっていただければ無料で相談に乗っていただけます。
気軽に、問い合わせてみてはいかがでしょう。

SOL(ソル)建築設計事務所     熊本市池上町 2239-23
一級建築士   有馬 博 様    TEL 096-311-4115  FAX 096-311-4116

                      E−mail: arima-z@ka2.so-net.ne.jp

URL http://sol-archi.com
設計監理例
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■千葉県/神原邸  木造2階+鉄筋コンクリート造3階建
■3mドーム+回転式スライドルーフ 3m×3m
■設計監理 SOL建築設計事務所
 

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